ハンティング中にエゾヒグマに襲われ、恐怖の体験をしたチアキ姉妹。その事件がチアキのクマ撃ちの原点なのか…?
そして今巻から登場するクマ撃ちの師匠・光本。これがなかなかアクの強い人物で…?
安島薮太さんの漫画『クマ撃ちの女』3巻レビュー。ややネタバレあり注意。
『クマ撃ちの女』3巻 主なあらすじ
- 冬山で鹿狩りの最中、クマに襲われたチアキと姉。そしてチアキの不注意から、結果的に姉は左足を失ってしまう。
- その後、姉はすっぱりと狩猟をやめ、チアキは大学卒業後に東京で就職。が、二年前に北海道へ帰郷。その目的は「クマ撃ちをする」こと。
- 自分に対する贖罪のためにチアキはクマ撃ちをするんだ、と語る姉。「チアキに狩猟を辞めさせてください」とカズキに頭を下げる。
- しかし鳥撃ちから戻り、チアキと共に食卓を囲むカズキは、「チアキは好きで狩猟をやっている」と感じる。そしてその裏には「クマを撃つ本当の動機」がありそうで…?
- そこにチアキの「猟の師匠」から呼び出しが。嫌がる彼女に頼み込み、「大学の後輩」という体での取材を取り付ける。
- そして師匠・光本の経営するジビエ店へ。カズキはそこで、光本が無許可で動物を解体したり、非狩猟鳥獣を提供していることに気づく。そう、彼は目的のためなら法律違反も辞さないハンターだった。
- しかしヒグマ猟に関して圧倒的な知識と経験を持つ光本に、チアキは頭が上がらない。翌日の猟で彼に教えを請うと、スランプだったチアキに変化が…。
3巻 レビュー
鳥撃ちの最中にチアキの姉から聞いた、彼女がクマ撃ちに執着する理由。これがなかなか衝撃的な内容で、ヒグマに対する恐怖が改めて呼び起こされる。
が、果たしてその話が「クマ撃ちにこだわる理由」なのか?という含みがあるのが気になるところ。
ちなみに鳥撃ち編の最後で描かれる、カモとキジの「捌き方の違い」が面白い。羽をむしるのに手間がかかるカモに較べて、キジの処理は超・カンタン…?
こういう細部のリアルさを物語の随所に絡めてくるのが、『クマ撃ちの女』ならでは。
師匠・光本が強烈…!
そして今巻で初登場となるのが、チアキのクマ撃ちの師匠・光本。これがなかなかインパクトのある人物。良く言えば、世の中の「本音と建前」を理解した上でしたたかに生きている、というところか。
ジビエ店だけではなく、実際の猟でも「狩猟解禁時間外に車の中から発泡」などの違反行為を連発。しかしそれが実際に猟果に繋がっていて…。まさに「バレなきゃいいんだよ」を体現した人間。
そして絶賛スランプ中のチアキに、本来は禁止されている事前の弾込めを指示。違反行為をしたくないチアキと、それを目の前で見逃さざるを得ないカズキは葛藤するが…。
そして光本はチアキに「秋のクマの撃ち方」を伝授。それは驚きの方法だったが、それが悲劇を…『クマ撃ちの女』4巻へ続く!
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