遊びも学業もそつなくこなし、それなりに充実した学生生活を送る高校生。しかし心のどこかに満たされないものを感じる彼は、一枚の絵に出会ったことからその人生を変えていく…!
山口つばささんの漫画『ブルーピリオド』1巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。
『ブルーピリオド』1巻 主なあらすじ
- 高校2年生の矢口八虎は、悪友たちと金髪・喫煙・飲酒や夜遊びをする毎日。それでいて成績優秀、人間関係も良好。充実した高校生活を満喫している。
- しかしそんな生き方に、どこか虚しさも感じている八虎。ある日美術室で、大きなキャンパスに描かれた一枚の絵に目を奪われる。
- そしてそこに居合わせた美術部顧問から声をかけられる。「矢口さんがみんなに言いたい景色を教えてください」だが八虎は、その意味をもうひとつ掴みとれない。
- しかし夜遊び後、早朝の渋谷の「青」に気づく八虎。その事を例の絵の作者である先輩女子に話してみると、「あなたが青く見えるならそれでいいんだよ」
- その気持ちを美術の課題に反映し「青い街の景色」を描くと、友人たちから反応が。自分の感覚が人に伝わったことに「ちゃんと人と会話できた気がした」と、涙ぐむ。
- その後、先生や先輩から美大の情報を得た八虎。絵を描くことを「時間の無駄」と思いながらも、自分の中に芽生えた気持ちに嘘はつけず、美術部へ入部。実質倍率200倍の東京藝大への道を歩み始める…!
1巻 レビュー
その見た目や行動からDQNと評されながらも、努力を効率よく成果に反映させることのでき、誰からも一目置かれる器用な高校生・八虎。そのまま行けば難関大学合格も確実という状況。
が、偶然出会った「絵画」に目を奪われ、また絵を通して自らの心を見るものに通じさせたことから、「アート」という未知の領域へ進んでいく様が、『ブルーピリオド』では描かれていく。
その目標は、東京藝大に合格すること。しかしその絵画科は、「日本一受験倍率が高い学科」。複数年の浪人生活は当たり前、ある意味「東大より難しい大学」(※劇中より)。
そこに絵のド素人、それも高校2年生まで芸術方面の経験をしなかった人間が、果たして美大に合格できるのか?が大きな見どころ。
そんな「美大受験物語」と並んで劇中で描かれていくのが、「アート」そのものに対する知識と、そこに真摯に触れて成長していく八虎の姿。バランスの良い薀蓄+ストーリーが絶妙にわかりやすく、面白い。
物語後半では美術部に入部、持ち前の努力と向上心でハードな課題をこなしていく八虎。やがて油画科へ目標を定め、絵画予備校の門を叩くが、そこで「天才」に出会い…。『ブルーピリオド』2巻に続く!
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