帝国本土へ向かって、レジャット・ダウーらと共に大型帆船で、洋上へと漕ぎ出したルーク。しかしフラペコの策略で、大商人グレシャムに追いつかれ…?
住吉九さんの漫画『ハイパーインフレーション』2巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。
『ハイパーインフレーション』2巻 主なあらすじ
- 連れ去られた姉・ハルを追って、奪った帆船で洋上へ出たルーク、レジャットら。
- だがガブール人でありながら、実は帝国のスパイであるレジャット。ルークの「特別な力」に興味を持ち、秘密を探ろうとする。一方ルークも、最初は頼れる人物だと考えていたレジャットの行動に不信を抱き、警戒。
- そうこうしている内に、航行を遅らせたフラペコのせいで、グレシャムの船が追いつく。それに対し、船に積んでいたグレシャムの財宝を海に落とす、と脅しをかけるルークたち。先にビビった方が負ける「チキンゲーム」が始まった!
- しかしやや優勢なグレシャム陣営。それに対し、ルークは「贋札作り」の能力を利用し、グレシャムをゲームから降ろすことに成功!その後、話し合いの場を設ける。
- テーブルに着くのは、野生児ダウーを擁するルーク+レジャットと、荒くれ者を従えたグレシャム・フラペコ。バックのパワーは互角。あとは平和裏に事態を解決したいルークだが、なかなか話がまとまらない…。
- だが頭脳戦を得意とするルーク。「俺が目指すのはWINじゃねぇ!WIN-WINだ!二倍勝つ!」と、「互いが得する方法」としてボートを使った二隻の乗船者入れ替えを提案。その案が採用されるが、結末は…?
WIN-WINを目指す駆け引き?
ハル姉を取り戻すため、広い世界へと漕ぎ出したルーク!しかしそこには悪徳商人グレシャムだけではなく、得体のしれないレジャットという不安がつきまとう。
しかし後戻りは出来ない!『ハイパーインフレーション』2巻では、船に近づくや否やのチキンゲーム、そして皆がWIN-WINになるための「入れ替え」など、多彩な駆け引き・頭脳戦が展開されていく。
中でも「私掠船と奴隷船の乗員を平和裡に入れ替える」駆け引きが面白い。いわゆる「渡し船問題」の発展型とも言えるものだが、金・武器・人、そして「裏切り」が絡むそのやり取り。果たしてルークの言うWIN-WINは達成されるのか…?
贋金の「真の価値」…!
そしてこの2巻で、当面はルーク・グレシャム・レジャットが物語のメインとなることが印象付けられるのだが、この三者が三者とも非常にこってりした人物(笑)。
力は無いが贋金を生み出す能力と知恵で、大人たちと渡り合うルーク。行動原理は全て「カネ」、いかに儲けるか?という考えから圧倒的パワーを発揮するグレシャム。そして知力・体力ともに超人的、しかし「怪しすぎる」男・レジャット。
彼らがぶつかっていく様が何とも言えない迫力で、実に面白い。そこに野生の力をほとばしらせる裸の大女・ダウーが絡み、ますます混沌とした状況に。敵と味方も激しく入れ替わり、まさに先が読めない展開!
その中でやがて、「ルークの作る贋金」の「真の価値」が世界を動かすことに気づく男たち。世界を制するのは果たして誰なのかー?『ハイパーインフレーション』3巻に続く!
コメント