合理的過ぎる軍人と不死の少女たち:漫画『Thisコミュニケーション』1巻レビュー

驚異的な戦闘力と再生力を持つ少女たち。再生時に「記憶が1時間前に戻る」性質を利用して、「極度に合理的」な軍人は理想の部隊を作り上げようとするが…?

六内円栄さんの漫画『Thisコミュニケーション』1巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。

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『Thisコミュニケーション』1巻 主なあらすじ

Thisコミュニケーション 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)
  • 20世紀後半、地球に突然湧いた謎の巨大生物「イペリット」。地球を自分たちの住みよい環境に作り変えようとするそれらの活動によって、人類は絶滅寸前に。
  • その僅かな生き残りとなっていたのは、極地の施設に居た人々。その一つ、80年前に作らた長野県松本市の研究施設では、研究者を中心に200名が自給自足の生活を送っていた。
  • その施設を目指して、ひとり雪山を登っていた男・デルウハ。しかしたどり着く前に倒れてしまう。
  • その彼を助けたのは、施設で生み出された「ハントレス」の少女・よみ。彼女を始めとした6人のハントレスは、人体改造により驚異的な戦闘力と再生能力を備え、イペリットに対抗することが可能。
  • しかし性格的な問題からいがみ合う彼女たち。戦闘中に同士討ちをしてしまったことから、統制が取れない状態に。
  • その様子を見ていたデルウハ。実は軍人で「極度に合理的」な彼は、ハントレスたちが「死ぬ一時間前の自分を再生する」ことに着目。あえて彼女たちを死に至らしめることで、その記憶をコントロールすることを思いつくー。

不死の戦士「ハントレス」

主要な人類は絶滅寸前、人間の生活圏をモンスターの出したガスが覆う、というポストアポカリプス的世界観を持つ『Thisコミュニケーション』。

そこで描かれていくのはSFというよりはサスペンス、という意外性が、この漫画のユニークなポイント。

巨大でウニョウニョ動くモンスター・イペリットに、近接戦闘で対抗できる”いちこ”・”にこ”・”みち”・”よみ”・”いつか”・”むつ”、6人のハントレスたち。

しかし”姉妹”でありながら性格はバラバラ。そしてその戦闘力にも差があり、それが結束を大きく阻害する要因に。

人々の希望となりえる可能性を持ちながら、その力を充分に発揮することができない彼女たち。人類はこのまま滅びるしかないのか…?

軍人デルウハが事態を打開…?

そこに現れたのが、軍人デルウハ。彼は非常に優秀な砲兵であると同時に、極めて合理的、そして人心掌握の術を心得ている人間。

その彼が「殺しても再生する」「再生時に記憶が一時間前にリセットされる」「だが協調性が著しく低い」兵士たち=ハントレスを目の前にした時…。

「あ、これ理想の軍隊作れるんちゃう?」と思っちゃったのが地獄の始まり。

仲間との連携に影響を与える出来事あったり、または自分に都合の悪い事実があったりすると、躊躇なくハントレスたちを殺して「リセット」するデルウハ。

「(俺は)毎日パンとサラミが食える立場を守れるなら 世界がガスに埋もれようと ”化け物を殺す仕事”に就かされようと構わない そういう男だ」

…と公言してはばからない彼。一見「イペリット駆除」に関するセリフのようだが、さて彼が指す「化け物」が何か?(言うまでもない)。

さてデルウハはハントレスたちを思い通りに操り、日々の食事にありつけるのか?ハントレスたちの中にはその”本性”に気づくものも現れて…?『Thisコミュニケーション』2巻に続く!

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