怪獣に襲われた少女・楓を助けた”このえ”。鳥嶋・美沙とともにマンションに退避する。しかし楓に狙いを定めた怪獣は、執拗にその跡を追い…?
井上淳哉さんの漫画『怪獣自衛隊』7巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。
『怪獣自衛隊』7巻 主なあらすじ
- 市街地で怪獣一体を倒した自衛隊。しかし死の間際に発した毒ガスの影響で、自衛隊員一名が殉職。ついに死者を出してしまう…。
- そしてもう一体の怪獣は、少女・楓を”マーキング”。執拗にその後を追い回す。美沙・鳥嶋と協力した”このえ”は、鳥嶋の住む高層マンションへ退避。
- だが音に敏感だった怪獣・オロチの性質を受け継ぐオロチの幼体たち。腕の治療で楓が上げた悲鳴をキャッチし、驚異的な運動能力でマンションの外壁を登りだす!
- 部屋までたどり着き、窓をぶち破って楓に襲いかかる怪獣!鳥嶋の機転で辛くも部屋を抜け出す”このえ”たちだったが、鳥嶋が負傷。生死不明の状態に…。
- その頃、総理大臣にアメリカ大統領から極秘の提案が。怪獣に苦戦する自衛隊に対し、怪獣対策部隊「ニムロド」を提供する用意があるが、その代わり米軍の失態である「怪獣逃亡の経緯」を秘密にせよ、という内容。
- 日米の力関係を盾にあまりにも一方的なその提案に、総理大臣の決断は…?そしてアメリカからもたらされた情報から、「3体目の怪獣」の存在が明らかに…!
- その3体目の「オロチの子」は、今まさに”このえ”・美沙らの眼前に。住民たちに遅いかかる怪獣に、「音」をたよりに危機を回避していく”このえ”。
- しかしマンション内に、他の住民たちと閉じ込めらてしまう彼女。果たして自衛隊の救助は間に合うのか?そして謎の部隊「ニムロド」の実力や如何に…?
日米の政治的な駆け引き
怪獣と自衛隊の「市街戦」が苛烈さを増す一方、国のトップ同士で交わされる極秘の会談。
米軍の対怪獣用特殊部隊を貸与する代わりに、怪獣の情報を隠していたことを許容しろ、と迫るアメリカ大統領。すんごい悪い顔してる(笑)。
しかしそもそもパワーバランス的に不利な日本側。しかも実際に怪獣に苦戦している現状で、総理は条件付きながらもその提案を飲むことに。
そこで行われる「駆け引き」が『怪獣自衛隊』7巻の見どころの一つ。だがその余波は「自衛隊と警察の協力体制」にも影響が。
ニムロドの存在を秘匿しなければならない自衛隊は、現場から警察関係者の撤退を要請。だが事情を知らない警察がそれを呑めるはずも無く。東京都における対怪獣態勢は崩壊してしまうのか…?
オロチの子VSこのえ
その頃、最前線で楓をはじめ、マンション住人を守ろうとする”このえ”。「3体目の怪獣」を決死の覚悟で引きつけた美沙を助けるため、彼女自身もその身を怪獣の前にさらけ出していく!
「ヒーローはいない」が『怪獣自衛隊』のキャッチコピーの一つだが、”このえ”のその姿はまさにヒーローそのもの。身一つで「恐怖」に立ち向かっていく彼女の行動から、目が離せない!
しかし圧倒的な恐怖を持って人間に襲いかかる怪獣「オロチの子」。一歩、また一歩と人々に迫りくる、その驚異が何とも恐ろしい。
そこに投入される自衛隊の対怪獣部隊「Taps」そして米軍「ニムロド」は、事態を打開できるのか…?『怪獣自衛隊』8巻へ続く!
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