ハワイで育った青年は、寿司職人だった母のルーツを頼りに、日本の巨大寿司店で修行を積むことに。しかしその前途は多難で?
せきやてつじさんの漫画『寿エンパイア』1巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。
『寿エンパイア』1巻 主なあらすじ
- 創業160年の老舗寿司屋「華山」。その4代目である老寿司職人・剣蔵は、部下の竹部に命じ、謎の失踪を遂げたかつての恋人・松田美咲の消息を探しさせていた。
- その竹部の孫・朝里は、ハワイ旅行の最中に、屋台で寿司を握る青年・松田湧吾に出会う。南の海で捕れた魚を丁寧にさばき、そしてとろけるような美味い寿司を握る彼の目標は、寿司職人だった母の腕を超えること。
- その湧吾の存在を、朝里を通して知った竹部。湧吾に接触し、「お母さんがは働いていた寿司屋に来ないか?」と誘う。
- 義父の静止を振り切り、日本へ渡った湧吾。東京の華山本店で剣蔵が直々に握った寿司を口にし、その凄さに感銘を受ける。
- と同時に湧き上がった疑念。「この人が俺の本当の父さんなのか?」俺もこんな寿司が握れるようになりたい、と華山で修行することを決意する。
- しかしもっぱら華山の跡継ぎと目されるのは、剣蔵の義理の息子・雅。容姿端麗にして凄腕の寿司職人である雅は、湧吾を敵視。配下の職人に命じて嫌がらせをー?
真っ直ぐな主人公の眩しさ
本場・日本の寿司に憧れる青年が老舗寿司店で成長していく様子を、母のミステリアスな部分を絡めながら描く『寿エンパイア』。非常にドラマティックなグルメ・ストーリーである。
真っ直ぐな性格と爽やかさ、そして寿司に対する真摯な姿勢が眩しい!主人公・湧吾。彼が日本の文化に触れ、本格寿司職人の道を歩んでいく様には、読んでいてグイグイ引き込まれるものが。
が、彼の眩しさは、同時に「闇」もひきつけてしまうことに。華山の跡目を狙うライバル・雅の嫌がらせは、漫画を読みながら思わず歯ぎしり(笑)してしまうほど。
リアルな寿司ドラマが面白い!
日本人の血を引きながら、「異国・日本」で寿司修行にチャレンジしていく湧吾。先輩職人の「しごき」を受けながら孤軍奮闘する彼が、やがて仲間を得ていく様子に、熱いものがこみ上げてくる漫画『寿エンパイア』。
リアルな絵柄による迫真のドラマを数々生み出してきた作者・せきやてつじさんの物語運びも手伝って、寿司ドラマが予想以上の熱さを持って迫ってくる!
そして終盤では、華山の最下層に落とされた湧吾に救いの手が。底辺から抜け出すためには寿司コンクールに出るしかない?そう、この漫画は「寿司バトル漫画」でもあるのだ!『寿エンパイア』2巻へ続く!
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