母は盗人なのか?動揺する心で「東京寿司職人若獅子杯」で決勝に臨む湧吾。相手は異端の寿司職人にして同じ技を持つ男・阿島!
せきやてつじさんの漫画『寿エンパイア』4巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。
『寿エンパイア』4巻 主なあらすじ
- 「アナタの母親は華山の秘伝を持ち出した盗っ人なのよ!!」華山の女将から衝撃の内容を聞かされる湧吾。それを立ち聞きしていた雅は、湧吾の父親は4代目(雅の義父)ではないか?と疑いを持ち…。
- さらに湧吾は対戦前の阿島を訪ね、彼の「落雷」のルーツを聞く。それは彼が世界を放浪していた時に出会った寿司職人・華山泰臣から伝授されたものだと言う。
- その阿島の目的は、日本の伝統の寿司を破壊すること。かつて震災で全てを失った彼は、「日本」に大きな恨みを抱いていた。「アナタの寿司は間違ってる!」湧吾は阿島の寿司に全力で挑むことを決意!
- いざ始まった決勝戦。阿島は世界放浪で培った知識と経験を活かし、独創的な寿司を発表。「どいつもこいつも、動物にしてやるよ!!」その寿司の旨さに審査員たちは虜になる。
- 迎えた湧吾・藤原チームのターン!取り出した魚は…ボラ?「この時期の東京湾のボラなんて、臭くて食べられたものじゃない!」懐疑的な審査員たちだが、湧吾には秘策が…?
阿島の過去から生まれる寿司
真偽は不明だが、母がかつて華山を逃げ出した理由を聞かされた湧吾。「落雷」は金沢「雷鳥」の流派の握りで、母・美咲はそのスパイだった…?「落雷」にまつわる謎がさらに一つ、増えることに。
そして決勝の相手・阿島は、「雷鳥」のオーナー・華山泰臣から「落雷」を伝授された男。そこに至るまでの過程と、彼がその人生で経験した凄惨な過去が、劇中で明かされていく。
寿司職人それぞれの背景がリアリティを持って描かれるのが『寿エンパイア』の面白みのひとつ。そしてそれが各々の握る寿司にしっかり反映されているところが、グルメ漫画としての奥深さを演出。「寿司」そのものに引き込まれる。
湧吾が選択した寿司は…?
その阿島の華やかな寿司に対して、地味な魚をチョイスした湧吾。
もちろんそれには理由があり、そして握った寿司が人々を魅了していくわけだが、彼の握る寿司の背景には、愛情あふれる母の教えが息づいているところが、阿島と対比的。
また素材の選択・調理方法のひとつひとつに理由・理屈があり、そしてそれらが合わさって形作られた「寿司」が口に入ることで新たなメッセージを伝えていく、という演出が面白い。
そして「東京寿司職人若獅子杯」は今巻で決着。湧吾の身辺にも変化があり、恋の予感がー?『寿エンパイア』5巻へ続く!
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