湧吾が敗北?優勝への道は…:漫画『寿エンパイア』9巻レビュー

恐れていたことが遂に!背中の痛みにより「大江戸寿司番付」を敗退してしまう湧吾。優勝への道はそこで閉ざされてしまうのか…?

せきやてつじさんの漫画『寿エンパイア』9巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。

前巻『寿エンパイア』8巻のレビューはこちら

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『寿エンパイア』9巻 主なあらすじ

寿エンパイア(9) (裏少年サンデーコミックス)
  • 「大江戸寿司番付」2回戦を戦う湧吾。しかし痛めていた背中の状態が悪化。「落雷」を使わずに寿司を握るが、凡庸な出来に。結果、敗退してしまう…。
  • 傷心のまま「たつくら」に戻る湧吾だったが、仲間にあたたかく迎えられ、自分の居場所を再確認。そこに若旦那・雅の棄権による「敗者復活戦」が行われるとの連絡が…!
  • 棄権の理由は、雅の義父にして湧吾の実父である崋山4代目・剣蔵の危篤。気になった湧吾は竹部に剣蔵の溶体をたずねるが、「アナタのいるべき場所で闘ってください」と諭される。
  • かくして急遽開催されることになった敗者復活戦に参加する湧吾。背中の痛みを宇佐美紹介の鍼灸師に抑えてもらい、準備は万端!
  • 対戦形式は8人による1対1のトーナメント戦。初戦の相手は、ロサンゼルス出身のヒスパニック系寿司職人・エンリケ!アメリカ、そして日本で修行を積んできた彼の握る寿司に、湧吾は勝利することができるのか?

剣蔵に対する雅の思いとは…?

漁で少年を救った時に背中に負った傷。寿司を握るのに影響するんだろうな…と漠然と想像していたが、まさか「大江戸寿司番付」で敗退してしまうとは!これは予想外の展開。

が、そこからまさかの敗者復活戦!その手があったか(笑)。

しかしそれは雅の棄権、引いては剣蔵の危篤によるもの。そこで描かれる雅の「義父に対する思い」が興味深い。

生まれてすぐに寿司職人だった実父を亡くした雅。東京の地主の娘である母(現・たつくらの女将)のもとで何不自由なく育つが、物心ついた時には寿司の英才教育を受けることに(理由は不明)。

そして母と再婚した剣蔵の寿司を初めて食べた時、その旨さに感激。以来、腕を磨いてきたが、剣蔵は彼に振り向くことは無かった…。その剣蔵に自分の寿司を認めさせる!

雅は「嫌な奴」なんだけど、その根っこにあるものの一端、彼の「本質」が垣間見える興味深いエピソード。

敗者復活戦で寿司バトル!

そして剣蔵の危篤は、湧吾にとっても他人事では無いもの。が、今はおのれの全力を尽くすしか無い!かくして敗者復活戦へ。

そこで対戦するロサンゼルス出身のエンリケは、寿司修行のため来日するも閉鎖的な職人世界の壁にぶちあたり、挫折した人間。

理不尽とも言える仕打ちを日本から受けたその彼だが、同時に「日本に来て3年、誰よりも寿司に打ち込んできた!」と熱い思いを抱く男。その手から生み出される情熱的な寿司が実に美味そうで…!

人物の特色・背景を練り込んでストーリーへと組み込んでいく、『寿エンパイア』ならではの寿司対決、今巻でもその面白さがバツグンに発揮されている。

さらに注目は、もう一組の戦いに登場する寿司職人・盛山。彼が握る「未来寿司」は、従来の寿司の発想を大きく変えるもので…?『寿エンパイア』10巻へ続く!

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