ついに「敵」であるエゾヒグマに出会ったチアキ。深夜の牧場でひとり獲物を狙うが、焦りのためか事態は予想外な方向へ…!
安島薮太さんの漫画『クマ撃ちの女』5巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。
『クマ撃ちの女』5巻 主なあらすじ
- 牧場で牛を襲うクマの駆除を引き受けたチアキ。それが姉の足を奪い、自分に「屈辱」を植え付けたクマだと気づく。
- 「決着」をつけるため深夜に雪の中で獲物を待ち、そして現れたクマを撃つ!が、風上に立つというミスから仕留め損なう。
- チアキは林に逃げ込んだクマを追うが、暗闇・積雪・寒さ、そして恐れと悪条件が重なり、パニックに。銃を暴発させてしまい、当たった枯れ木の破片が顔に…!
- 探しに来たカズキらに助けられ事なきを得たチアキだが、頬に大きな傷を負う。後日、自宅で静養中の彼女を訪ねたカズキは、「ひとりでクマを追う」と取材の終了を告げる…。
- それから9ヶ月。取材をまとめた本がヒット!したカズキは、再び北海道へ。チアキと再会し、「本を売るため」「違法行為をごまかすため」にチアキを美化し、それがために一部から彼女が反感を買ったことを詫びる。
- そしてチアキの「本質」を真正面から捉えた上で、読んだ人がチアキを好きになるようなルポを書きたい!もう一度取材を!と請い、彼女もそれを受け入れる。
- かくして新たなクマ撃ち取材が開始!猟の仲間として迎えいれた狩猟犬「ワン」と共に、より深みを増した冒険が始まる…!
取材の終わり…
5巻からの続き。自分のプライドを深く傷つけた「因縁のエゾヒグマ」と再会。そのあとを追うチアキ。
しかしそこは野生動物のテリトリー。銃という武器を手にしながらも、闇・雪・寒さなどの悪条件も手伝って、逆に追い詰められていく。その様子が何とも臨場感があって恐ろしい…!
そして傷つき、「敵討ち」にも失敗したチアキ。そこでクマ撃ち取材は終了…。何とも煮え切らない結末だが、これにて『クマ撃ちの女』完結!
…とはならず(笑)、5巻中盤からは9ヶ月の空白期間を経て、新展開が。
新たな猟の仲間は狩猟犬!
その後、取材をまとめたカズキの本がヒット!(フィクションだが何だか嬉しいw)しかし中途半端に終わった前回取材に、ともにモヤモヤを抱いていたカズキとチアキ。新たな気持ち、新たな仲間とともに、さらに充実したクマ撃ち取材を開始!
そこで行われる「犬を使った狩猟」の描写が非常に面白い。これまではチアキ自身がクマの痕跡を見つけて当たりをつけていたのが、狩猟犬に獲物を発見させてそれを追う、という180度異なるやり方へ。
それはラクじゃん!と思いそうだが、実際は犬の性質を理解し、信頼関係を築き、適切なコンビネーションを取る必要が。このリアルな描写が『クマ撃ちの女』の真骨頂。実に面白い。
しかし狩猟犬・ワンはなかなか気難しいヤツ。使いこなすのはなかなか難しそう…?『クマ撃ちの女』6巻へ続く!
コメント