秋、初めての文化祭!出し物で盛り上がるクラスメートとは対照的に、志摩くんの心はもうひとつ晴れない。そして迎えた当日にトラブル発生…?
高松美咲さんの漫画『スキップとローファー』4巻コミックス・レビュー。ややネタバレあり注意。
『スキップとローファー』4巻 主なあらすじ
- 実行委員が一年以上かけて準備するという、気合の入ったつばめ西高校の文化祭。美津未と志摩くんのクラスはミュージカル『サウンド・オブ・ミュージック』を上演することに。
- 子役出身であることを隠し、演劇系の話題も避けてきた志摩くんだが、その場のノリを断りきれずに、演者として出演することに…。
- 一方、生徒会員として忙しく活動する美津未。クラスメートから脚本チェックを頼まれるも、多忙のためすっぽかし。陰口を言われてしまう。
- そんな美津未をたまたま見かけて慰める志摩くん。美津未の姿にかつて人の期待に応えようと、子役を頑張りすぎた自分を重ね、そして彼女にそのままの素直さを持ち続けて欲しい、と一人願う。
- そして迎えた文化祭。2日目のミュージカル上演に志摩くんのお母さんが訪問。そこに子役時代の友人・梨々華が現れ、ひと悶着。どうやら二人の間には確執が…?
ミュージカルin文化祭
文化祭前~文化祭当日の様子が全編を通して描かれる4巻。『スキップとローファー』ならではの青春群像劇的展開ももちろんあるが、今巻でメインとなるのは志摩くん。
前半、避けていた「役者」を図らずもすることになった彼。美津未の失敗を目の当たりにし、家庭の事情もあって気を張っていた自身の姿を、その姿に重ね合わす。
頑張りすぎる彼女に心のなかで、「そのまんま変わらないでいてくれないかな」と美津未に声をかける志摩くん。それはかつての自分に対しての声でもあり、その複雑な胸の内が忍ばれる…。
しかし!立ち直りの早さも美津未の長所。前向きな彼女を見て微笑む志摩くんと、知らず識らずのうちに彼に良い影響を与えている美津未の心。打算の無い心の交流が胸を打つ。
志摩くんの気持ちに変化が…?
そしてクラスのミュージカルが好評のまま迎えた、文化祭二日目。かねてより志摩くんを勧誘する演劇部・兼近先輩の舞台を見た志摩くん、その心の中にはある衝動が…?
その後、子役時代に確執のある志摩くんの母親と梨々華がバッティング!険悪な雰囲気になりそう…なところを救ったのは、やはり美津未の真摯な気持ち。
彼女や兼近先輩の前向きな心・行動が、やがて志摩くんの中にあったわだかまりを溶かしてゆく…。4巻を通して描かれるその過程が、心にジワリと染み渡る。素晴らしいストーリー。
さて、美津未たちが志摩くんに与えた影響は、どのような形で表れていくのか?『スキップとローファー』5巻へ続く!
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